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本橋 信宏
アダルトビデオ―村西とおるとその時代
アダルトビデオは今や完全に市民権を得てしまった。アダルトビデオの台頭は家庭用ビデオデッキの普及を促進したとも言われるほどである。その立役者は、この本で描かれている村西とおるであろう。彼は、裏本業で一山当てたが、猥褻図画販売容疑で捕まってしまった。非合法な裏本によって図書販売ルートを築いた彼が表の出版物をそのルートで扱おうとして落ちた。彼は今度はビデオで復活を果たそうとした。アダルトビデオ創世記は裏本で当てた人物がこぞって参入してきていた。村西とおるは、撮影の知識は一切ないが、何から何まで一切をこなしてゆき遂にアダルトビデオの帝王と呼ばれ、一般誌までが連日取材に訪れる存在にまで伸し上がってゆく。丁度それはバブルの時代でもあった。胡散臭さと社会的な蔑視の中で欲望を満たす一大産業が生み出されていった。この本は、一つの時代が形成されてゆくときの猥雑な熱気が伝えられる好著である。著者は立花隆と竹中労に憧れてライターになった人でマルクス主義の作品を執筆しているときに村西とおるに誘われアダルトビデオ業界に足を踏み入れた。村西氏との再会から最後の日までを回想風に話を進めている。醒めた筆致がとても良い。サブカルチャーの世界に興味がある方にはお勧め。 |
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